事業場外保管って何?

事業場外保管制度とは、産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)を一時的に保管する際、前もって申請しておく制度になります。

この制度を利用すると、以下のメリットがあります。

1日の平均搬出量×7日分を保管しておくことができます。

ただし!

利用するには、以下の条件があります。

“産業廃棄物を排出する事業者で、自社運搬を行っている“が対象となります。

対象者の事業者さんは、制度を利用する為に、使用開始前に届出を行わなければいけません。

届出を行うには、廃棄物処理及び清掃に関する法律に基づいて行う場合と市条例に基づいて行う場合があります。

どちらに該当するかにより手続き内容が異なる為、以下にて解説していきます。

一時保管ってどれ位?

1日の平均搬出量×7日分になります。

上記は、自社運搬のみの事業者さんの場合です。

自社で処分を行っている事業者さんであれば

1日の処理量×14日分となります。

詳しくは、後述している保管基準で触れていますので、そちらをご覧ください。

事業場外保管を使うには?

対象者及び、要件を満たす必要があります。

対象者は?

産業廃棄物を排出(出す)事業者さんで、自社運搬している方になります。

この為、以下の方は対象外になります。

  • 産業廃棄物の収集運搬業者さん。
  • 産業廃棄物の処分業者さん。
  • 産業廃棄物を自社運搬していない排出事業者さん。
  • 産業廃棄物の処分施設関係でご利用される方。

要件は?

冒頭部分で、軽く触れていますが、法律に基づく場合と、市条例に基づく場合とで異なります。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律

“建設工事に伴い生ずる産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)の事業場外における保管面積が300㎡以上有すもの”

言葉が難しいので、少し嚙み砕くと「建設業(元請け)の方で保管面積が300㎡以上ある方」になります。

ここでいう保管面積とは、産業廃棄物を保管しておく場所になります。

産廃太郎

ちょっと待って!

それって建設業+保管面積が300㎡以上ある人しか利用できないの?

山之内行政書士

いいえ。

「要件を満たした場合」のみ届出制になるだけですよ。

法律の要件を満たしていない方でも保管基準を守っていれば、事業場外保管が可能です。

ただし産業廃棄物を自社運搬している排出事業者が条件になります!

市条例

市条例は、各都道府県の市町村が独自作った為、都道府県の市町村により違いがあります。

例えば、大阪市を基準に説明すると、以下の通り。

全ての事業活動を営むもので“敷地面積が200㎡以上有すもの”

ここでいう全ての事業活動とは、保管面積が300㎡未満の建設業建設業以外の全ての事業者

※敷地面積とは、事業所・車庫等・保管場所、全てを含めた敷地のことをいいます。

参考図

上記の要件を満たした方のみ、事前に届出を行いましょう。

要件に該当しない排出事業者の方は、保管基準を守っていれば届出不要です。

産廃太郎

法律と市条例の要件を両方に該当している場合は、どっちにも出すの?

山之内行政書士

処理及び清掃に関する法律による届出だけで大丈夫ですよ。

市条例による規定がない都道府県は「処理及び清掃に関する法律」で規定された方のみ届出を行いましょう。

建設業

要件処理及び清掃に関する法律による届出市条例による届出
保管面積が300㎡以上
保管面積が300㎡以上・敷地面積200㎡以上×
保管面積が300㎡未満・敷地面積200㎡以上×
保管面積が300㎡未満・敷地面積200㎡未満××

全ての排出事業者

要件処理及び清掃に関する法律による届出市条例による届出
敷地面積200㎡以上×
保管面積が300㎡以上・敷地面積200㎡以上×
敷地面積200㎡未満××
保管面積が300㎡以上・敷地面積200㎡未満××
大阪市に基づいた場合

保管基準とは?

廃棄物の処理及び清掃に関する法律で義務づけられている「事業者にかかる基準」の1つです。

生活環境に支障がないよう、産業廃棄物を取り扱う全ての事業者が守らなければいけません。

保管基準を具体的に述べると、以下のようなものなります。

  • 保管期間は、自ら処理するまで又は収集運搬するまでのやむを得ない期間のみであること。
  • 保管場所の周囲に囲いが設けられていること。(廃棄物の荷重がかかる場合には、構造耐力上安全であること。)
  • 見やすい場所に必要事項が記載された掲示板が設けられていること。

掲示板の記載方法については、こちらの関連記事「産業廃棄物の保管基準に含まれる掲示板及び高さについて」ご覧ください。

  • 廃棄物の飛散や流出を抑え、地下浸透や悪臭を生じないよう必要な措置を行う。
  • 屋外において容器を用いずに保管する場合にあっては、積み上げられた産業廃棄物が決められた高さを超えないようにすること。
  • ねずみ及び蚊、ハエ等の害虫が発生しないようにすること。
  • 保管数量の上限は1日の平均的な排出量の7日分(※1または14日分)
  • 特別管理産業廃棄物と産業廃棄物が混合しないよう、仕切りを設ける等の必要な措置を行う。

※1

保管数量の上限は、積替えの為に保管を行う場合、1日の平均的な排出量×7日分。

(平均の出し方、前月の産業廃棄物量÷30で出た数字。)

自社処分を行う場合は、処理施設の1日分の処理能力×14日分。

(処理能力の出し方、1時間あたりの処理能力×施設稼働時間で出た数字。)

尚、稼働時間が8時間未満の場合でも、8時間として計算することが義務づけられています。

上記の基準を満たさず行った場合は、法律違反となります。

特に積み上げられる「高さ」が事業者さんにとって、かなり気になるところですね。

高さは「勾配」により制限されています。

  • 勾配って何?
  • どれ位までいけるの?
  • どんな計算方法で出すの?

など、高さについてより詳しく知りたい方、こちらの関連記事「産業廃棄物の保管基準に含まれる掲示板及び高さについて 」をご覧ください。

届出の申請方法は?

要件に該当した対象者さんは、事前に届出を提出しなければいけません。

その申請方法及び書類内容は、法律か市条例の有無にかかわる為、都道府県により異なります。

以下では「大阪府大阪市」を例に挙げています。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律の場合

提出先:大阪府 環境農林水産部 循環型社会推進室 産業廃棄物指導課 排出者指導グループ

所在地:大阪市住之江区南港北1-14-16 大阪府咲洲庁舎21階

申請書類

  • 産業廃棄物事業場外保管届出書(産業廃棄物の場合)
  • 特別管理産業廃棄物事業場外保管届出書(特別管理産業廃棄物の場合)

※PCB(ポリ塩化ビフェニル)除く

添付書類

  • 保管場所の使用権限を有する書類
    • 土地登記事項証明書
    • 賃貸契約書の写し
    • 土地使用承諾書など
  • 保管場所の平面図及び付近の見取図

提出期限:保管利用を始める前(最低でも前日)までに行う。

市条例

提出先:大阪市 環境局環境管理部環境管理課産業廃棄物規制グループ

所在地:大阪市阿倍野区阿倍野筋1丁目5番1号(あべのルシアス13階)

堺市・豊中市・吹田市・高槻市・枚方市・八尾市・寝屋川市・東大阪市の区域内で保管される場合は各区域まで。

上記以外の市に関しては“大阪府”になります。

申請書類

  • 産業廃棄物保管施設届出書(特別管理産業廃棄物の場合も同じ用紙)

※PCB除く

添付書類

  • 保管に係る事業場の配置図及び該当事業場の付近の見取図
  • 保管施設の平面図、立面図、断面図、構造図
  • 自社処分する場合のみ、実施計画書、当該処分用の施設の平面図、立面図、断面図、構造図
  • 産業廃棄物の保管量に係る計算書
  • 保管する産業廃棄物の荷重に対し、構造耐力場安全であることを示す設計計算書
  • 土地の使用及び保管施設の使用権の証明書類(賃貸契約書など)

市条例の届出をされる方!

“帳簿の記録”が義務づけられています。

帳簿には以下の内容を記載。

  • 産業廃棄物を搬入した年月日や搬入した担当者名
  • 産業廃棄物の種類や数量及び発生場所
  • 産業廃棄物の搬出した年月日や搬出した担当者名
  • 産業廃棄物の搬出先の氏名及び住所

詳しくは、大阪市の手引きをご確認ください。

提出期限:保管利用を始める2週間前までに行う。

尚、他の都道府県について、市条例の有無や手引きをご確認されたい場合、以下の関連記事「【全国】事業場外保管の手引きまとめ!」をご覧ください。

事業場外保管を届出制で利用された場合、保管所の変更や廃止があった場合も届出が必要になります。

産廃太郎

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